成長を加速させるのは「教えられる」ことより「引き出される」こと
習い事やスクール、レッスンに参加していると、たくさんのアドバイスを受ける機会があります。しかし、「言われた通りにやっているのにうまくいかない…」と感じたことはありませんか?
その原因は、「教えられること=ティーチング」に偏りすぎている可能性があります。
ティーチングとは「先生が知識や技術を教える」こと。それに対して、コーチングとは「本人の中にある答えや気づきを引き出す」方法です。
つまり、ただ言われたことを実行するよりも、自分自身の中にある“気づき”や“納得”を通じて学ぶ方が、より深く、早く、確実に成長できるのです。
人は「納得」で行動が変わる
なぜコーチングが効果的なのか?それは、人は「言われたからやる」より、「自分で気づいてやる」方が行動に結びつくからです。
たとえば、レッスン中に先生が「もっとリラックスして」と言ってくれても、自分の中で“なぜ緊張しているのか”が分からなければ、行動に落とし込むのは難しいですよね。
でも、「緊張しているのは失敗を恐れているからだ」「自然体になれたときはどうしていたか?」と自問自答し、自分なりの答えを導けたとき、人は納得し、行動が変わります。
納得は最強のモチベーション。これがコーチングの本質です。
コーチングで変わったスノーボーダーの事例
あるスノーボーダーが、キッカーでジャンプを練習していましたが、アプローチが安定せず、スピードを出せないという悩みを抱えていました。他のインストラクターからは「アプローチでは姿勢を低く安定させよう」とアドバイスを受けていたものの、なかなか改善が見られなかったそうです。
私はそのスノーボーダーの滑り方やスタンス、使用しているスノーボードやビンディング、ブーツの相性まで細かく観察しました。そして、なぜ彼のアプローチが安定しないのか、どのような体の使い方をすれば安定するのかを丁寧に説明し、彼自身が納得できるような対話を重ねていきました。
たとえば、「板のフレックスに対して重心の位置が前すぎるから、加速時にバタついてしまうよね」といったように、彼自身の道具や滑りの特性に合わせたフィードバックを行いました。そして、「自分はなぜこの姿勢をとっていたのか?」「どうすれば自然に安定できるのか?」といった問いかけを通して、自らの気づきを引き出すようなコーチングに切り替えたのです。
その結果、彼はスピードを落とさず、安全に、しかも安定してキッカーへアプローチできるようになり、ジャンプのパフォーマンスも大きく向上しました。
「低い姿勢で安定させよう」という“アドバイス”だけではなく、「どうして安定しないのか?」という“問いかけ”と“納得”があったからこそ、彼自身が本当に理解し、行動を変えることができたのです。
自分の成長を加速させたいなら「問いかけ」を習慣に
コーチングは、何も特別な技術を持つ人だけのものではありません。あなた自身が「問いかけ」を意識するだけで、日々の学びの質が大きく変わります。
例えばこんな問いかけをしてみましょう:
• なぜうまくいかなかったのか?
• どうしたらもっとよくなると思うか?
• 成功したときはどんな状態だったか?
こういった自問を繰り返すことで、あなた自身が“内なるコーチ”となり、自らの答えを見つけ、行動に移すことができるようになります。
つまり、本当の意味での「上達」とは、自分自身との対話から始まるということです。
まとめ
アドバイスを受ける際には、それをそのまま受け入れるのではなく、自分自身の状況や目標に照らし合わせて考えることが重要です。コーチングのアプローチを取り入れることで、自己の内なる声に耳を傾け、真の成長を遂げることができます。習い事やレッスンにおいても、自らの気づきを大切にし、主体的に学ぶ姿勢を持つことで、より充実した成果を得ることができるでしょう。